四旬節第三主日2021:　オトナのための「天地創造ものがたり」：神は男と女をつくられた

神は言われた。

「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。そして、海の魚、空の鳥、家畜、地の獣、地を這うものすべてを支配させよう。」

神は御自分をかたどって人を創造された。

男と女に創造された。

神は彼らを祝福して言われた。

「産めよ、増えよ、地に満ちて、地を従わせよ。海の魚、空の鳥、地の上を這う生き物すべてを支配せよ。」

神は言われた。

「見よ。全地に生える、種を持つ草と種を持つ実をつける木を、すべてあなたたちに与えよう。それがあなたがたの食べ物となる。地の獣、空の鳥、地を這うものなど、すべて命あるものにはあらゆる青草を食べさせよう。」

そのようになった。神はお造りになったすべてのものを御覧になった。見よ、それは極めて良かった。

夕べがあり、朝があった。第六の日である。

(創世記１:26～31）

お元気ですか。ご無事ですか。しぇるりんです。(^ ^)

新型コロナの感染拡大が、このところ落ち着いているのは「季節性要因」です。

新型コロナCOVID-19の怖いのは、「無症状・軽症でも後遺症は半年以上続く可能性がある。生涯、治らないかもせいがある」ことです。

しぇるりんは「たぶん、新型コロナだろう」症状に2019年年末ごろに感染し、1月に発症、3月に「白眼が赤くなる」後遺症を発症しました。

その後、一年近く経ちますが、最初に赤くなり始めた部分の赤みは取れません。当時は、体表面に現れる後遺症が多く観察されました。最近は体内の循環器に血栓、神経細胞の侵食などが身体のどこで発生しているのか、イマイチはっきりしない事例が増えているようなので、要注意です。

社会距離を保ち、外出時には必ずマスク着用、こまめに手洗いをし、不要不急の外出は自主的に控える…を自分でやり続ける覚悟が必要です。

週末に、所用がありショッピングモールに行ったら、親子連れで溢れかえっていました。ゲームコーナー、フードコート…どこも子どもたちが大ぜいいました。

子どもは、大人のウソに敏感です。内閣府の記者会見なんてひと言も理解できなくても、「オトナはウソばかりついているのに、子どもはなぜ、外で遊んじゃいけないの？」というメッセージが伝わっているのだと感じました。

オトナは、ウソつき政治家と大企業などにモノ申せないまま「長い物には巻かれろ」で、安寧無事を願っていればどうにかなると思っています。

このままで、日本はどうなって行くのでしょうか？安全な開催は無理な東京五輪聖火リレー開始日に合わせて、緊急事態宣言を解除しようという一部政治家の思惑で、日本が狂気に巻き込まれようとしています。

さて、本日は神が「男と女をつくられた」、第六の日後半です。

神は御自分をかたどって人を創造された

神は御自分をかたどって人を創造された

「我々にかたどり、我々に似せて、人を造ろう。」の「我々 = us」について、疑問が浮かぶでしょう。

神ご自身を「我々」と呼称した理由は、⑴ 一般主語多数形の意味合いで「我々」、⑵　天国で話し合いがあったという発想、⑶ 詩的表現の目的語、⑷ 神のイメージ、⑸ 神は男と女を造られたから…と手元にある英語の《THE CTS NEW CATHOLIC BIBLE》にあります。

《創世記》のそのほかの部分では、神はご自身を「わたし」と言っておられます。

やはり、ジェンダー・フリーと男女同権を目指す21世紀のわたしたちが心に留めるべきは、ココです！

「神は御自分をかたどって人を創造された。

　男と女に創造された。」

そう、唯一の神は、２種類の人間を造られました。男と女です。お互いに神ご自身と「似てるけど少しずつ足りない」、性差のある人間です。

男は出産をしないので、遊んで一生を過ごしても、働き続けても生理的限界は、食欲・睡眠欲・性欲ぐらいしかないように見えます。が、男だけでは人間は途絶えてしまいます。

女は、生理・出産など現代社会では「配慮を必要とする」状態に置かれがちですが、「産めよ、増えよ。世に満ちよ」の「子孫を産める」のは女性だけです。

逆に言うと、子孫を産める女性を男性がどれだけ積極的かつ現実的に支え続けたいと思うかで、世界人口ですら推移するのです。

すると、日本の少子高齢化は日本男性が「現実に目の前にいる女性」をないがしろにした当然の結果と言えます。

神は、少しずつ足りない男と女が、互いに助け合い、違う特性と個性をもつ相手を自分のように大切にするという「目標を生きる」よう召し出し、人間を造られたようです。

いつの間に、男が女を敵視し、女が男に警戒心を持たねばならなくなったのでしょう？これは、性産業の極端な商業化・資本主義化に関係がありそうです。

セックスや男女の対話という「本質的なたましいの交わり」であるべき行為を、資本主義的な「お金というデータに対価交換できる」商業サービスへと変質させてしまったのです。

結果として、男性は「商業サービス品質の女性を求め続け」、女性は「お金というデータをより多くもたらす男性を求める」感情的な陥穽(わな）の循環から逃れられない人が増えました。

「自分と生涯の日々を共にして悔いないパートナー」としての配偶者を、それぞれの個性の輝きから求められる男女が極端に減りました。

本来なら、「この人なら、自分の長所・短所を破れ鍋にとじ蓋でどうにか補える人」だという基準で、一生を共にする家族共同体の最初の一人を選ばねばならないのに…です。

ジェンダーギャップの問題は、これから男女が平等な話し合いのテーブルで論議を深めていかねばなりませんね。

神はご自分の似姿としてひとを男と女につくられました。それは、男と女が信仰を通じて神への理解を、話し合いとともに働くことで深めるよう召されたからだと思います。

それとは別に、労働力と対価として「お金」という極めて経済学的な課題もあります。

わたしたちの「魂」まで、労働力の一部としてお金のデータとして差し出している現状に、新型コロナCOVID-19の災禍は警告を鳴らしているようです。

労働力の提供は、資本主義社会ではお金との対価交換を生み出すと同時に、「お金以外で自分以外の存在と関わっちゃダメ」という奇妙な孤立へとヒトを誘導しているようです。

「自分だけ中心主義」みたいな感じ方です。乖離性離人障害という困難な症状を3歳から患い、孤独の極地を彷徨ったしぇるりんには、「自分だけ中心主義者」たちが、何にそれほどの恐怖心を感じているのかが判りません。

「自分が人間として外の世界と接点のない絶望的な孤独」って、ものすごく辛かったです。その辛い数十年の歳月をかえりみれば、他者への恐怖は相対的に思えます。

ヒトには契約上の労働力を提供する以外に、「自分の人生を生きる」時間がたっぷり必要です。

自分の考えを持ち、自分らしさを生きる時間があってこそ、人間らしさとは何か、なぜ孤立と恐怖で他者の手を払いのけるだけではダメなのか…を自分で考えられるようになるからです。

自分らしさを生きられる時間の分だけ、労働の対価を上乗せすれば良いのでしょう。しかし、労働者が自分らしさを生きる道を見出すこと＝雇用する企業の利益創出につながる…とはならない確率が一定割合であります。

むしろ新しいビジネスの道筋が見えれば、自ら新しいことを一から始めるため、起業してしまうかも知れません。

Aさんが脱サラして起業し一定の業績をあげたという理由、Aさんの以前の所属企業の業績が悪化する…とは限りません。

「風が吹けば桶屋が儲かる」だって、「火災が増え、火消し桶の破損率が大風で増えることで、桶屋は儲かるだろう」という、合理的な生産計画を立てられる因果関係があります。

しかし、資本主義的な企業は「データ化した労働者とデータ管理者」の集合体です。

企業家は、お金というデータ以外に何も管理しないヒトに自身を貶めている場合が実に多いのです。その企業が株式上場していようものなら、「株価動向が企業経営者を管理する」負の連鎖が起こります。有力企業の上場株や有形・無形の資産は先進諸国では「国力」でもあるため、政府まで介入して来ます。

こうなると、もはや本末転倒です。人間が生きる糧を得るための労働が、人間をお金というデータに隷属する「魂が半ば死んだ労働力」に育てようという試みが繰り返されるからです。

そこで、北欧諸国などを中心に政府が、ベーシックインカムなどの方法論で「自分らしさを取り戻すための時間を政府が提供する」ことが昨今、論じられています。

「個性を発揮しよう！」が奨励される北欧諸国ですら、社会活動として自分らしさを生きるためには、自分らしさを取り戻すためにベーシックインカムが必要かも…と言われているのです。

ましてや、日本のように隷属教育を推し進める国では将来は暗いとしか言いようがありません。

「労働力として提供して良いものと、ダメなもの」の倫理的なガイドラインについて、新型コロナ禍の中で考え直してみませんか？

しぇるりんからのご提案です

– 生き物をすべて支配せよ

神が人類を、地球生態系の食物連鎖の頂点に立たせたのは、なぜでしょうか？

結果として「生き物すべてを支配」するハメに陥った人類は、地球生態系の食物連鎖の頂点に立たされているという自覚がまだ足りないと思います。

食物連鎖の頂点に近ければ近いほど、「ただ生き続ける」ことだけで責任が指数関数的に重くなるのです。

人類の活動が、「地が生み出す」種の多くを絶滅に追い込み、新たな改良品種や亜種を作り出しました。

家畜、ペットなどの動物のほか、現在食用にしている穀物や野菜の多くが「ヒトが農耕・牧畜に便利なよう改良した」改良品種です。

「遺伝子組み換えダイズ」などが登場し、地球生態環境への負荷、ハチの集団死や土壌の死が緊急課題として台頭しつつあります。

純粋に人間都合、企業活動都合の「改良」にも「やって良いことと、ダメなことがある」という地球からの警告でしょう。

「生き物をすべて支配する」権利が《創世記》で与えられている人類には、生き物すべてを神がいつくしむように、いつくしみと愛をもち、共に生きる義務もあります。

《創世記》を通じてわたしたちは、つい「他の生き物を支配する権利」ばかりを主張し続けました。

ついに新資本主義経済の現代にあって、「生活の実態と、交換するデータが極端に乖離した状態」となり、人がヒトを死に追い込む格差社会をつくりだしてしまいました。

格差で貧困に追いやられた人ほど、すべての生き物へのいつくしみを求めなくてはなりません。なのに、困窮に陥った人は、まず自分を助けられないジレンマに陥ります。

富裕層は「大量のお金や資産」というデータを溜め込んでいるにも関わらず、すべての生き物を守り、未来への義務を果たすためにそれらの資産を使う時間も、気持ちの余裕も持てないようです。

富裕層の中には、「お金や資産というデータ」を自分の子孫に継承させようと必死になりすぎたあまり、子孫との愛のつながりを失う人も多いようです。

そうなると、富裕層ほど「お金だけでつながる家族」になりがちです。

「生き物のすべてを支配せよ」という《創世記》の神の召し出しは、世界中の男と女に「権利だけじゃなく、義務も忘れるなよ！」と問いかけています。

日本は木造建築が多い分、主に東南アジアの熱帯雨林を破壊し続けてきました。その分、春のこの季節になると、「採算が合わない」という理由で伐採されなくなった近隣の杉の木が大量に撒き散らすスギ花粉症に悩まされ、目薬、マスクなどが手放せない矛盾を生きています。

神が御自らの似姿であるわたしたちが、神のみ心に近づくにはどうしたら良いのか…何ができるのか…祈りのうちに求めましょう。

小さな手のわざはそれ自体は小さいままですが、神のみ心は神秘に満ちています。

神にお任せできるよう、祈りましょう。

ご自愛下さい。どうぞ、ご無事で。

２月２８日（日・主・紫）　四旬節第２主日

第一朗読: 創世記22章1－2，9a，10－13，15－18節　

答唱詩篇: 82（詩編116・9＋12，16＋14）

第二朗読: ローマの信徒への手紙8章31b－34節

詠唱: 260（第2 主日）（マルコ9・7）

福音朗読: マルコによる福音書9章2－10節

３月７日（日・主・紫）　四旬節第３主日

第一朗読: 出エジプト記20章1－17　△ 20・1－3，7－8，12－17節

答唱詩篇：124（詩編19・8，9，10）

第二朗読: 一コリントの信徒への手紙1章22－25節　

詠唱260（第3 主日Ｂ）（ヨハネ3・16）

福音朗読: ヨハネによる福音書2章13－25節

３月８日（月・週・紫）　

(カトリック中央協議会《教会暦と聖書朗読2021年B年》より引用しました。)

動画配信情報(3月2日午後時点）：敬称ほぼ略

緊急事態宣言中・医学的パンデミック中は、公開ミサ全面中止、動画ミサ配信のみの小教区・教区・大教区もあります。体調に不安のある方、高齢者と同居されている方だけでなく、教会共同体への愛のためにも、ご自宅で安心してあずかれる動画ミサで教会の祈りに参加しましょう。詳しくは所在地の教区、大教区の教区長、小教区主任司祭および教会委員会のガイドラインをご確認ください。

カトリック東京大司教区

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2021年四旬節菊地功大司教メッセージ

神は御自分をかたどって人を創造された

– 生き物をすべて支配せよ

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